原油タンカー1隻で運べる原油は日本の石油消費の何日分?石油の“大きさ”を調べてみた!【エネゴリくんのぎもん】

 ~石油の3つの「大きさ」~ニュースに登場した原油タンカーを見て、エネゴリくんはびっくりしました。その長さは、なんと約330mもあるというからです。東京タワーの高さが333mなので、ほぼ同じです。これほど巨大な船なら、「1隻あれば、日本の消費をどのくらい賄えるの?」そんな疑問(ぎもん)が浮かんできませんか。今回は、石油にまつわる「設備」「消費量」「暮らしとの関わり」という3つの“大きさ”を見ていきます。ちょっと意外なことが分かりますよ。

この記事の目次

設備の“大きさ”~東京タワーを横倒しにしたような巨大タンカー

原油タンカーと東京タワーの比較

 ひとことで“原油タンカー”といっても、大きさはいろいろあり、主に中東など世界の産油国から日本への原油輸送で活躍しているのが、「VLCC(Very Large Crude Carrier)」と呼ばれる超大型原油タンカーです。大きなものでは全長約330mもあり、長さは、東京タワーをほぼそのまま横倒しにしたような大きさです。そして、VLCC1隻には、およそ200万バーレルの原油を積むことができます。1バーレルは約159リットル(L)なので、200万バーレル=約3億1,800万L!…と言われても、数字が大きすぎて、もはやよく分かりませんがとにかく大量です。しかも、巨大なのは船だけではありません。日本に到着した原油は、すぐにガソリンや灯油になるわけではなく、まず製油所などにある原油タンクへ送られ一時的に貯蔵されます。その中でも大きなものでは原油タンカー(VLCC)約1隻分の原油を受け入れられるほど巨大な原油タンクもあります。原油は、私たちが普段ほとんど目にすることがない大きな原油タンカー(VLCC)で、想像もつかないような量が運ばれ、とてつもなく大きな設備(原油タンク)で保管されているのです。では、これだけ大量の原油で、どのくらいの期間の日本の消費を賄えるのでしょうか。

消費量の“大きさ”~原油タンカー(VLCC)1隻分で、日本の消費の○○分

原油タンカー1隻で日本の1日の石油消費量の14時間分

 原油タンカー(VLCC)1隻が運ぶ原油は、およそ200万バーレル。約3億1,800万Lという途方もない数字ですから、十分すぎるほどの量があるように思えます。ところが、日本全体でみると実際は1日に300万バーレルを超える石油が消費されています。たとえば1日の石油消費量を約336万バーレル(2023年を参考)として見てみます。すると、原油タンカー(VLCC)1隻分の約200万バーレルは、日本全体の石油消費量の約14時間分です。東京タワーほどの長さの巨大な船で運んできた原油でも、日本全体の石油消費量と比べると、わずか1日分にもなりません。ただし、「毎日VLCCが2隻来なければ、すぐに石油がなくなる」という意味ではありません。実際は、製油所や石油製品などを保管する油槽所には原油や石油製品が貯蔵されているほか、海外から石油製品を輸入することも可能です。そしてENEOSは、原油を受け入れながら、24時間体制で石油製品をつくり続けています。原油タンカー(VLCC)で大量の原油を運び、巨大なタンクに貯め、製油所で24時間365日休むことなく石油製品を生産しつづける、こうした仕組み全体で、石油製品の供給は成り立っています。でも、「そもそも、それほど大量の石油が必要なの?」という疑問(ぎもん)については、石油が使われている “範囲”に答えがあります。

生活との関わりの“大きさ”~石油製品は燃料だけじゃない

生活との関わりの“大きさ

 石油にはもうひとつとても大きなものがあります。それが、私たちの生活に関わっている「範囲の大きさ」です。日本人一人あたりの石油消費量は、1日約4Lと言われています。これは、毎日牛乳パック4本以上分の石油を消費していることになります。そう聞くと、「本当にそんなに使っているの?」と思うかもしれません。それは、「石油の消費」と言われるとガソリンや灯油などの「燃料」を思い浮かべる人が多いからだと思います。ですが、石油が使われているのは燃料だけではありません。コンビニで買えるおにぎりとペットボトル入りのお茶で考えてみましょう。これらの商品は工場で生産され、トラックで店舗まで運ばれています。工場で機械を動かしたり、商品を運ぶトラックを走らせたりするには燃料が必要です。これらは石油製品が使われているわかりやすい例です。もう少し詳しく見てみると、おにぎりを包むフィルムには、ポリエチレンやポリプロピレンなどの石油由来の素材が使われています。ペットボトルも、石油由来のポリエチレンテレフタレート(PET)が主な原料です。また、パッケージの印字に使われるインクや、包装やラベルを貼るための接着剤にも石油由来の原料が使われています。

 お店に目を向けると、レジ、パソコン、配線などにも、石油からつくられる素材が使われていますし、空調や照明には電気が必要で、発電には石油をはじめさまざまなエネルギーが利用されています。つまり、「おにぎりとお茶を買う」という何気ない行動ひとつをとっても、実はさまざまな場面で石油が関わっています。これは、コンビニだけの話ではありません。自動車、家電、スマートフォン、衣服、日用品、道路など、私たちの身の回りには、石油由来の素材や製品が幅広く使われています。石油は、燃料としてのガソリンや灯油だけではなく、私たちが普段意識しないとても大きな範囲で利用され、暮らしを支えています。だから、日本人1人あたり1日約4Lという数字になるのです。約3億1,800万Lと言われるよりもこうして身近なものや数字にしてみると、より実感できたのではないでしょうか。

まとめ

 大きいのは、タンカーだけではありませんでした。VLCCは、東京タワーの高さとほぼ同じ長さのとてつもなく巨大な船です。ところが、その1隻が運ぶ約200万バーレルの原油も、日本全体の石油消費量と比べれば約14時間分にすぎません。日本で大量の石油が使われているのは、石油が燃料として使われるだけでなく、暮らしのさまざまな場面で利用されているからです。つまり、今回確認できた「大きさ」は3つです。原油タンカーの大きさ、日本の石油消費量の大きさ、そして石油が暮らしに関わる範囲の大きさ、です。巨大な原油タンカー(VLCC)が何十日もかけて海を渡り、日本へ原油を運んできて、巨大なタンクで受け入れ、製油所では24時間365日、石油製品をつくり続け、そこから全国へ届けられ、私たちの暮らしのあたり前を支えています。エネゴリくんが驚いたのは原油タンカーの大きさそのものだけではなく、石油が私たちの暮らしを支えている大きさそのものだったのかもしれませんね。

原油タンカー(VLCC)【エネゴリくんの雑学】

 原油タンカーは大きいほどいい?~VLCC1隻には、およそ200万バーレルも積むことができます。一度にたくさん運べるなら、すべての製油所へVLCCで運べばよさそうに思えます。しかし、VLCCはとても大きいため、着桟(原油受け入れ専用の桟橋に着くこと)するには十分な水深などが必要です。そのため、より小さな原油タンカーへ積み替えて運ぶことがあります。海外から日本へ原油を運ぶ船を「外航船」、日本国内で原油を運ぶ船を「内航船」と呼びます。内航船であっても88万バーレル(約1億4,100万L)ほど積み込めるので相当大きな船であることに変わりはありません。